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法人経営編(2)

タオルを手がけて40年、この事業を揺るがないものにしようと社員たちは頑張ってきました。
これまでの企業のあり方は、「一つのものを大きく育て、その関連性がある事業を伸ばす」でした。この考え方は、今でも正しい、そうであるべきと思います。
2011年に、東日本大震災が起こり、私の考えが少し変わってきました。当時の震災では、地震と津波による大きな被害がでました。機械や会社が流されました、それ以上に困ったのは被災した人々でした。
会社がなくなり、同時に収入の道も閉ざされた人たちがたくさんいました。東日本一帯は、精密機械の部品等の生産会社が多く、その仕事にすべてを掛けていたという企業がたくさんありました。精密で緻密なだけに、これらの企業の復活には時間がかかります。
大きな問題は、そこで働いていた社員の生活です、仕事がなく出稼ぎに行くか、あるいは移住する決断までしなければなりません。
そのような情景を見た時、私は「潮目が変わったなあ」と感じました。
タオル事業に大きな不況や大災害に遭遇した時、1年程度では回復できません。社員を守ることができない、どうするかという問題です。

タオル事業は、これからも「内容のいい」会社として、発展させよう。他社が不可能なサービスや技術を積極的に取り入れ、顧客の期待に、ますます応えるべきと考えます。
一方、食品事業部を立ち上げよう、それも全くの異業種である。この異業種こそが狙いで立ち上げました。
「ユタカ食堂」の誕生です。うどんは粉から作り上げ、野菜や魚、肉、米は地産地消型です。お陰で、地域の農家の人たちと、初めて共通の会話ができました。「ユタカ食堂」のおかげです。
今年から、リエゾン様の力を借りてパンまで作るようになりました。半年間、社食で社員に食べてもらい、「このパン、社内だけでなく多くの人に食べてもらいたい」という声が日増しに大きくなってきました。パン屋開業の決意をしました。
さて、タオル屋がパン屋をやる一番の理由ですが、それは「社員を守る」です。多角経営して企業を大きく見せるためではなく、「社員を守る」ためです。
この潮目の変わった世界で、企業は多くの選択肢を持たないと社員を守れないと思われます。タオル事業部より食品事業部は回復力が早い、災害が起こっても、社員をリストラしない、会社は社員を支え続ける責任があります、そのうちタオル事業部より先に食品事業部が復活します、そして社員を守ることができます。
その理由の一つに、地域の「食のプロである農家さん」と連携できます。
「ユタカ食堂」の社食、地産地消、うどん、パン屋と・・・、未来に向かってこの食品事業の仕事に、食堂部員は誇りを持ちながら繁榮させていくものと期待しております。

平成29年8月10日 大西日出機