2020.03.15

パン屋の経営に必要な経費や初期費用は?開業スタイル別に解説!

「いつかパン屋を開業したい」と考えているものの、パン屋開業の際にどのような手順を踏むのか、どれくらい費用がかかるのかなどが分からない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、パン屋を開業する際に必要な経費や初期費用の全体像ついて解説していきます。初期費用や経費をなるべく抑えて開業する方法も併せてご紹介します。

パン屋開業にかかる費用

パン屋開業の初期費用は2000~3000万円程度

パン屋開業の際には多くのお金がかかります。もちろん開業場所や店舗規模により異なりますが、一般的なパン屋では3000万円程度が開業資金として必要になります。

しかし、近年では居抜きやレンタルなどを上手く活用することで2000万円程度で開業している店舗も少なくないようです。

何にどれくらいの費用が必要になるのか、まずは全体像を見ていきましょう。
※この記事では、日商5~8万円程度の規模のパン屋を想定しています。

1:店舗費用(賃貸 or 持ち物件)

パン屋を開業する際に一番大きなウエイトを占めるのが店舗費用です。賃貸なのか、持ち物件なのかによってかかる費用が変わってきます。

賃貸の場合

一般的なパン屋を開業する際、店舗面積は最小でも20坪は必要です。

販売スペース、パンを造るためのスペース、オーブンや材料庫を置くスペースなどを考慮していくと、最低でも20坪はないとパン屋を開業するのは難しいでしょう。

駅近や地域などによっても大きく異なりますが、20坪の物件を借りようとした場合、たとえば東京の都市部・駅から徒歩5分圏内となると家賃は少なくとも50万円以上必要になります。

家賃の他に敷金や礼金、保証会社への保証料、前家賃などを考えると少なく見積もっても家賃の10倍程度のお金が初期費用としてかかると考えておきましょう。

持ち物件の場合

自分が持っている物件でパン屋を開業する際には、初期費用を大きく抑えることができます。

しかし、立地や広さなどはあらかじめ決まってしまっているので、自分の希望する内装を実現できるかどうかは微妙なところ。また、場所によっては集客が難しくなる場合(競合が多い、住民が少ないなど)もあります。

「パン屋として売上を立てていくために良い立地条件か」という部分も併せて確認しておかないと、開業後に苦労することになります。

初期費用を抑えることだけに目を向けず、開業後の事についても事前に確認しましょう。

2:内装費用(居抜き or スケルトン)

パン屋開業の内装費は他飲食店と比べると少ない

パン屋を開業する場合、他の飲食店と比べると内装費用は少ない傾向にあります。滞在時間が短いこと、イートインを目的としていないこと、過度なサービスを期待していないことなどが大きい理由です。

ある程度の清潔感やオシャレさがあれば、そこまで内装にこだわる必要はありませんが、「せっかくお店をオープンするなら…」とどんどんこだわりが出てきてしまいます。内装にこだわることも大事ですが、こだわる程費用がかかるということは忘れずに。

居抜き物件の場合

お店の入れ替わりが比較的激しいパン屋は、居抜き物件として出されていることも多々あります。

前の物件のオーナーによっては設備などもそのまま残してくれる場合もあり、居抜き物件を選ぶことで初期投資を抑えることが可能になります。

設備などが揃っている場合、クロスや家具などを揃えるだけでいいので、内装費が10~20万円程度で済むこともあります。

しかし、居抜き物件の場合には絶対に事前に考えておきたいことがあります。それは「閉店した理由」。

オーナー都合による閉店の可能性もありますが、経営不振でつぶれてしまったという可能性も十分考えられます。立地など集客の面で不利な点がないかをしっかり考えてみましょう。

スケルトンの場合

店舗の内装設備が一切ないスケルトンの場合、内装を一から揃える必要があるため、居抜き物件と比べると初期投資が大きくなります。

しかし、最初から全て自分の好みの内装にすることができるという点ではメリットにもなり得ます。

半分スケルトン&半分居抜きというパターンや、パン屋でない他の飲食店の居抜き物件など、上記以外にも様々なパターンがありますが、いずれにせよ「パン屋を開業したら売れる立地か」というのが最重要ポイントとなります。

3:設備費(購入 or 中古 or リース)

どんなパンを造りたいか、1日の売上規模、などにより金額は異なりますが、大きく分けると①厨房・キッチン関係、②レジ関係、③店舗の備品関係などが設備費としてかかります。

厨房機器・キッチン関連

生地をこねるためのミキサー、パンを発酵するためのホイロ、パンを焼くためのオーブン、揚げパンをするのであればフライヤー、など全て併せると700~800万円程度かかります。(詳細は別記事にてご紹介します)

また、この他にもキッチンで使う器具や、パンを購入する際のトング・トレイなども必要になります。

レジ関連

昔は大きなレジを導入する必要がありましたが、最近ではiPadなどのタブレット端末をレジ代わりに使うこともできます。

タブレット端末であれば端末代金だけで済むので、レジ関連の費用を大幅に減らせます。

Squreなどのクレジット決済や、PayPayなどのQRコード決済なども売上の3~3.5%程度の比較的リーズナブルな価格で利用できるのでおすすめです。

他にも持ち帰り用の袋、レシートのロール紙、他にも売上管理用のパソコンや、プリンター用のインクなど細かい事務用品などもかかります。

購入ではなくリースという選択肢も

飲食店の場合、設備は購入しないでリースで対応することも可能です。

設備をリースした場合、初期投資を抑えることができるだけでなく、廃業する際も処理が簡単になるというメリットがあります。

 

パン屋の運営にかかる費用

原価率の割合(目安金額)

パン屋を開業する際に忘れてはいけないのが、運営をする中で必要になるお金です。

お店によって異なりますが、一般的なパン屋では下記を目安に経営をしていきます。

原価25~30%
人件費30~35%
諸経費20%

家族経営の場合は、人件費の分も自身の収入となります。

例えば、日商4万円×稼働日25日=月売上100万円の店舗だと、自分の手元に残るお金が20~50万円という計算です。

ここから銀行からの借り入れなども返済していくので、実際にどの程度手元に残り、どのタイミングで利益が出るのか(損益分岐点)をあらかじめ事業計画として考えておく必要があります。

1:家賃

家賃は物件によって大きく変わりますが、ターミナル駅の周辺の物件の場合20坪で月50万円以上することがほとんどです。

逆に駅から離れた場所であれば費用は抑えられますが、場所によっては集客を行うことが難しくなるため、事前に立地調査が必要になります。

パン屋として売上が見込める場所には共通点がありますので、この良い立地を探す必要があります。この共通点については、別の記事で詳しくご紹介いたします。

2:材料費

パンの原材料費

運営の際には大きなウエイトを占めるパンの材料費。

こだわりの素材を使うのか、大量に仕入れることで安くするのかなどによって、原材料費材料費は前後しますが、一般的には売上の25~30%程度と言われています。

日商8万円のパン屋を例に挙げると、「8万×25日×25〜30%(原価率)」で、パンを造る材料費として月50~60万円を費やしています。

しかし、安かろう悪かろうの材料を仕入れてパンが美味しくなくなれば本末転倒。安くて良い材料をいかに安定して仕入れられるかがポイントとなってきます。

3:広告宣伝費

パン屋は基本的には店舗から半径1㎞以内における地域商売ですが、場合によっては食べログやぐるなびなどのWeb媒体、チラシなどの印刷媒体、試食などの販促費用など、広告宣伝費も必要になります。

パン屋は口コミ重視

パン屋の広告宣伝で一番重要なのは「口コミ」です。人から伝わったり、SNSやホームページ上で「口コミ」されることが集客のポイントなので、「いかに良い口コミをしてもらえるか」に注力して広告宣伝費を決定すると、費用対効果が高くなります。

無料試食

実際に来たお客さまにパンを購入してもらうために無料の試食を出すことがありますが、これも立派な宣伝費です。

美味しくない売れ残りのパンを出してしまうと、「あそこのパン屋は美味しくない」という口コミが広まってしまうため、おすすめできません。

多少大盤振る舞いに見えたとしても、お客様がリピートしてくれるようになればすぐに試食費用の回収が出来ます。とはいえ無料提供ばかりしては売上はあがらないので、このあたりもバランスが必要です。

Web宣伝費

今の時代必須となりつつある、Web集客(ホームページ、SNS<Twitter、Facebook、Instagram等>)。ホームページやSNSでの集客ができれば、いつもと違う人がお客さまになる可能性もあります。

ホームページ制作費用は、デザインにもよりますが30万円程度かかることが一般的です。Wix、ペライチなど無料でホームページを作成できるツールもたくさんありますので、パソコン作業ができる方はご自身でやるのも良いかもしれません。

ただし、ホームページを作成したらすぐに検索されるわけではないので別途施策が必要です。例えば、Web広告を出稿する場合、売上や集客目標人数によりますが、月5~10万円程度かかります。

基本的にパン屋は地域商売なので、広告に関しては地元情報を専門に扱っているWebメディアやフリーペーパーなどが良いかもしれません。

4:水道光熱費

パン屋の水道光熱費で一番大きいのが電気代です。常にパンを焼いていることもあり、電気代だけでも5万円程度かかることもあります。

結果的にすべての水道光熱費を合わせ、売上げの5%程度はみておいた方が良いでしょう。

 

税金

法人税や法定福利費などもおろそかにできません。パン屋の場合、個人事業主として開業している方も多いですが、所得に応じて15~30%近く税金がかかることもあります。

法人にするか個人事業主として開業するかの判断も重要です。法人化する一般的な目安は年商1,000万円程度ですが、税理士や税務署など詳しい方に話を聴くことがおすすめです。

税務処理費用

税務処理を税理士に依頼した場合、年間20~30万円程度の顧問料がかかります。

Freeeやマネーフォワードなどのソフトを利用すると月額1万円程度に抑えることが可能ですが、この場合ある程度の税務知識が必要になります。

個人事業主の確定申告の場合はそこまで難しくないので、ある程度知識があれば、費用をかけないでご自身でやることも可能です。

法人の決算の場合は費用対効果を考えると税理士に依頼したほうが良いかと思います。

パン屋を運営する際の3つの問題点

パン屋を開業する人は多いですが、結局うまく行かずに廃業してしまう人も残念ながら少なくありません。

経営に際して向き合うべきいくつかの問題をあらかじめ知っておけば、「こんなはずじゃなかった」と思うことも減るはず。

開業~経営の際の3つの問題点を見ていきましょう。

1:経営者という認識がない人が多い

パン屋を開業する人の多くはパンそのものが好き・パンを造ることが好きな人です。

パン屋の場合、他の飲食店と比べてビジネス参入として行うのではなく、夢やロマンをもとに参入する人も少なくありません。

ビジネス的な考えや利益に対する考えが欠如していることが多いので、最低限の経営知識は事前に身に付けましょう。

2: 材料費の煽りを受けやすい

パンは主に小麦粉などの粉物を材料にしているので、特に外国産小麦粉を使用している場合には、世界的に不足になり価格が高騰した場合に煽りを受ける可能性があります。

 

3:ライバルが多く集客が難しい

パン屋は日本全国に1万店舗あるとも言われており、パン屋以外にもスーパー・コンビニなどでパンが販売されています。

そのため、パン屋は非常にライバルが多く、差別化をしなければ集客が難しい場合もあります。

 

まとめ

「パン屋をやってみたかった」という気持ちだけで開業すると、「こんなはずじゃ…」と苦しむことにもなりかねません。

初期費用はもちろん、開業後の経費や売上見込みについてもきちんと把握・検討した上で準備を進めていきたいですね。

 

リエゾンプロジェクトでは「パン屋を開業するためのあらゆるサポート」を行っています。

・通常8~10年の修業期間をわずか5日間の研修で
・創業35年以上、開業支援の実績250店舗以上
・カンブリア宮殿を始め数々のメディアに出演
・製造研修、立地調査、図面作成、開業後支援などトータルサポート
・フランチャイズではないので自由度が高い

開業支援にご興味がある方は、まずはこちらのページをご確認ください。


→画像をクリックすると日程をご確認いただけます

パン屋開業で失敗しないための
完全マニュアルを無料公開

この資料を読めば、パン屋開業までの成功イメージと
具体的なステップが分かります

詳しくみる
Click here for Baking Training Free information session at
HERE