2020.04.05

パン屋開業から成功するには?必要な手続きと抑えておきたい4つのポイント

欧米化が進む今日で、日本の食文化では“パン文化”が浸透。その影響もあってか個人でパン屋開業を目指す方も多いようです。

しかし、パン屋で安定した経営をするためには、開業前からの下準備をしておくことが大切です。そこで今回は、パン屋開業までの流れと抑えておくべきポイントについてご紹介します。成功するポイントをしっかりチェックして、失敗のリスクを回避しておきましょう。

パン屋開業までの手順とは

パン屋開業までの大まかな流れは以下の通り。

①製パン技術の習得
②初期費用と必要材料の準備
③開業のための申請手続き
④コンセプト作り

まずは必要な技術を身に付けるところから始まります。ある程度の技術を習得したら、初期費用を試算した上で費用と必要材の調達。

その後、開業に向けた「各種申請の手続き」を行います。この際には、申請先は保健所や税務署などいくつかに分かれるため時間に余裕をもって行うことが大切です。ゆとりを持った開業スケジュールを計画しておきましょう。

最後に行う「コンセプト作り」はお店の今後を左右する重要な作業。店のオリジナリティーの出し方を決めて他店との差別化を図ります。

パン屋を成功させるには、こうした段階の中で入念な下準備を行うことがポイント。具体的なイメージのもと必要な技術と費用を揃えて、効率的な開業を目指しましょう。

製パン技術を学ぶ

パン屋を開業するためにはまず、リピートされるような美味しいパンを作る技術とノウハウを身に付けることが第一。10代~20代の方で体力的、時間的に余裕があるのであれば、製パン技術を学ぶ方法は「専門学校で学ぶ」か「パン屋に就職し修行する」ことをおすすめします。

独学」も可能ではありますが非効率な上にアウトプットする場所もないため、かえって時間がかかる可能性もあります。それぞれのメリット・デメリットを以下にまとめましたので、自分に一番合う方法を見つけてみてください。

①専門学校で学ぶ

メリット
・パン作りを基礎から体系的に学べる
デメリット
・就学中は収入を断たれる可能性がある金銭的な負担

②パン屋に就職し修行する

メリット
・収入を得ながら実践的な修業を積める
・経営のノウハウもそばで学べる
デメリット
・なかなか実践経験を積めない
・5~8年の修行が必要

③独学

メリット
・教材を自分で選べる
・金銭的な負担が少ない
・時間や場所に縛られず、自分のペースで学べる
デメリット
・疑問点などを解消しにくい
・個人の嗜好が強すぎて、お客様が求めているパンではない可能性がある
・しっかり学べているか分かりにくい

初期費用と必要材の準備

店内でパンを製造するためには、オーブンや業務用ミキサー、フライヤーや業務用冷蔵庫など多くの厨房機器が必要です。それに加えて物件費工事費運転資金もかかるため、パン屋開業の初期費用として一般的には、2000万~3000万程見積もっておいた方が良いと言われています。

・店舗の物件費(家賃や不動産取得費用)
・内外装の工事費(水道設備や店の内外装)
・設備投資(厨房機器や備品)
・運転資金(光熱費、従業員の給料、広告宣伝費)

もともとパン屋だった居抜き物件を利用したりと工夫次第で初期投資を抑えることもできます。資金計画を練る時は節約できる箇所をピックアップしておくこともポイントです。

開業のための申請手続き

パン屋を開業する際に必要な手続きは、全部で三つ。しかし販売する内容や営業形態によってはその他にも必要とされる申請が出てきます。どこまで申請が必要なのかを把握して、不足のないように手続きを行いましょう。

〇営業許可申請

保健所からは営業許可を得なくてはいけません。店舗の図面などを持参して開業する際の必要事項を確認します。この申請は内外装の工事が終了する10日前程度が目安。工事後に保健所の担当者が行うチェックを通過したら数日中に許可証が公布されます。

〇食品衛生責任者資格の申請

食品衛生責任者資格は、食品を扱う施設の衛生管理や働く従業員への衛生教育を目的にした手続きです。資格は必要なく、自治体や保健所が行っている講習を受けて貰える修了証さえ提出すれば責任者となることができます。

ただし講習自体が満員となってしまうことも多いため、事前に余裕をもって受講しておくように気を付けましょう。

〇開業届

税務署には開業一ヵ月以内に開業届を提出します。開業後は個人事業となるため、納税は青色申告が可能です。もし納税を青色申告で行うのであれば、開業二ヵ月以内に合わせて青色申告承認申請書も提出するようにしましょう。

〇菓子製造業許可や飲食店営業許可

上記の申請以外にも菓子パンを作る場合は菓子製造業許可が、イートインスペースを設ける場合は飲食店営業許可が必要となります。それぞれの基準については自治体により異なるため、事前に出店区域の基準について調べておくとスムーズです。

個性を決めるパン屋のコンセプト

沢山あるパン屋の中で埋もれないためには、オリジナリティーあるコンセプト作りが重要です。パン屋の個性の出し方はターゲット層を明確にすると打ち出しやすくなります。

メインターゲットの客層を決めたら、その客層が好む雰囲気作りやパンへのニーズを調査。コンセプトを元に一つのイメージに沿って店舗の内外装や商品のラインナップを作り上げていきます。

このお店のコンセプトは、明確であればあるほど他店との差別化にも繋がります。パンの魅力だけでなく「お店に入って商品を買うこと」自体が価値になっていくのです。

パン屋開業を成功させるための4つのポイント

最後にパン屋開業で安定した経営を続けていくためのポイントをご紹介します。パン屋開業成功のカギは全部で四つ。

①エリアマーケティング
②QSCAのレベルを上げる
③基本のパンとお店オリジナルのパン
④常に変化を続けること

①と②は開業前に行うべきポイントです。スタートダッシュを上手く踏み切るためにも、徹底したマネジメントを心がけましょう。③はコンセプト作りの際に合わせて考えることができます。他店との差別化だけに終始せず、基本のニーズも抑えることが大切です。

④は開業後も安定した経営をキープするために必要とされるポイント。長く愛されるパン屋を目指して継続的な努力を続けていきましょう。

①エリアマーケティング

出店場所は売り上げを左右する重要なポイントです。ターゲット層を決めたら、その客層にあったエリアを絞り込んでいきましょう。

学校や会社、ファミリー層の多い住宅地が近くにあると立地条件としてベスト。人通りや時間帯をチェックして、効果的なサービスを考えてみるのも一つの手です。例えば、

・帰宅時間帯にビラ配り
・初来店のお子様へ菓子パンのサービス

など、まず足を運んでもらうためのきっかけを作っていきましょう。

②QSCAのレベルを上げる

QSCAとはQ(クオリティー)、S(サービス)、C(クレンリネス)、A(アトモスフィア)のこと。主に飲食店で経営の基本方針として用いられる指標です。

Q(クオリティー)

食品の品質を意味する指標。通ってもらうためには、安さだけでなく美味しさも充実したコストパフォーマンスの高さが大切です。クオリティーではリーズナブルな価格設定で質の高さを目指した商品作りが求められます。

S(サービス)

来店した顧客へのおもてなしを意味する指標。子供向けの菓子パンを子供の目線の高さに置いたり、新規の顧客向けに店のオリジナル商品を提示したりと、来店中にも心地よさを感じられるようなサービスがあると次回以降の来店にも繋がります。

ターゲット層から考えられるニーズを想定して、サービスの行き届いたお店作りを心がけましょう。

C(クレンリネス)

店の清潔さを意味する指標。食品を扱うパン屋では徹底した衛生管理と店内の清潔感が何よりも重要なポイントとなります。店内の清掃はもちろん、スタッフの身だしなみも整っているか日々チェックするようにしましょう。

A(アトモスフィア)

店の雰囲気を意味する指標。店の雰囲気をどこまで伝えられるかは、店のコンセプトをどこまでアピールできるかにかかっています。

パンの説明一つでも、どんな字体を使ってどんな装飾で説明するかでその店に感じる雰囲気が変わります。外観の雰囲気と店内のインテリアが一貫したイメージになるよう、丁寧な作り込みを行いましょう。

③基本のパンとお店オリジナルのパン

メニューでは、基本のニーズを満たすパンとお店のオリジナリティーを伝えるオリジナルパンの二つが必要です。このどちらかに偏ってしまうと、他店との差別化に失敗してしまったり個性が強すぎて客層を狭めてしまったりする結果に陥ります。

ニーズに応える商品とファンをつかむ商品は明確に分けて、バランスの良いメニュー作りを心がけましょう。

またこのそれぞれのパンを配置する場所も大切。入ってすぐの店頭エリアには、店ならではのオリジナルパンを陳列しておくと店のコンセプトもダイレクトに伝えやすくなります。

反対に一定のニーズを誇る基本的なパンは店内の客動線に合わせて配置するのがおすすめ。スムーズに商品をチェックできることも、顧客の満足度を上げるポイントです。

④常に変化を続けること

開業してしばらくすると、店の強み客層の特徴なども見えてくるようになります。すると次に求められるのはリピート率の安定新顧客獲得への試み

そのためには自転車操業にせず、利益の一部を次の企画に充てることが重要です。よく見かけるサービスとしては以下のようなものが挙げられます。

・一年を通して季節ごとにシーズン商品を展開
・ファミリー層が多いようならイベントごとの商品も展開 例:節分やひな祭りなど
・周年祭の開催

新しい企画を実施することは一度離れた顧客を呼び戻すきっかけにも繋がります。常に変化を続けながら、愛されるパン屋を目指していきましょう。

まとめ

人気もニーズも年々高まっているパン屋ですが、競合店も多く個人事業主としてリスクが大きいのも事実。

他店との差別化を図りながら安定した経営で成功するためには、徹底した事前準備地域に密着した店舗作りが重要です。今回ご紹介したポイントを抑えて、憧れのパン屋開業を成功させましょう。

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