製パン学校はパン屋開業を準備するために選べる手段の一つ。
製パン技術の他にも、店舗運営のマネジメントや商品開発のためのポイントなど、パン屋に必要とされるさまざまな知識を学ぶことができます。
1~2年という期間で必要な製パン技術や知識を得られるので、パンが好きな人や将来パン屋を開業したい人に人気の専門学校です。
今回のコラムでは
「パン屋を開業するなら、製パン学校に入学しないといけないの?」
「社会人でも入れる製パン学校はある?」
「費用や期間はどれくらいかかる?」
といった疑問を解消していきたいと思います。
製パン学校に通う期間、総額の費用、学べる内容、卒業後の進路などについても触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
製パン学校の費用や学習内容
現在、製パン技術を学べる学校は
・製菓専門学校
・製パン専門学校
・調理師専門学校
・栄養専門学校
と様々です。いずれにしても製パン技術のほかに多様な特色があり、その内容が学校ごとのメリットや魅力を決定づけています。
学校を選ぶ際のポイントは大きく分けて次の3点です。
①時間と費用のコスト
②学校独自のプログラム
③卒業後の進路対策
学校独自のプログラムでは、160種類以上のパン作りの習得や学校内でのベーカリーショップ運営、調理師免許の取得などその学校だからこそ実現できるカリキュラムを学ぶことができます。
入学する際は自分の理想をなるべく具体的に描いてから、希望に合った学校を見つけるようにしましょう。
製パン学校の入学期間や費用について
では、卒業までにかかる期間と総額の費用はどれくらいになるでしょうか。
入学期間は平均1~2年
専門学校の制度は、基本的に一年制か二年制。一年制の場合は卒業までの時間を短縮できる分、早く現場に入ることができます。
しかし学習時間は二年制の半分となりますので、基本的な内容を幅広く身に付けるカリキュラムが多いようです。
一方で二年制の場合は、一年次と二年次でカリキュラムが変動する学校が多く内容も高度化していきます。
大体は一年次に製パン技術の基礎知識と基本的な技術を取得。続く二年次で実践的な店舗運営や、ハード系のパンや工芸パンなどの実習、商品開発や店舗デザインを学んでいきます。
ただし、そのカリキュラムの組み方は学校によって様々です。
一年次を製パン技術の取得にあてて二年次を店舗運営のための学習にシフトしていく学校もあれば、二年間を一つのカリキュラムとして初級から上級までの製パン技術を徹底的に身に付ける学校もあります。
費用を決める5つのポイント
入学から卒業までにかかる費用は、「入学検定料」「入学金」「授業料」「実習費」「施設運営費」の5つ。それぞれの平均費用は以下の通りです。
「入学検定料」…¥20,000
「入学金」…¥100,000~¥150,000
「授業料(一年分)」…¥500,000~¥800,000
「実習費(一年分)」…¥300,000~¥500,000
「施設運営費(一年分)」…¥220,000~¥300,000
よって入学から卒業までにかかる総額費用の平均は¥1,140,000~¥1,770,000ほど。学校によって総額費用に大きく差が出ていることが分かります。
また二年制の場合は「授業料」「実習費」「施設運営費」のみとなりますが、授業料と実習費が一年次よりもアップするケースがほとんど。
そのため二年次にかかる費用は平均して¥1,250,000~¥1,850,000程度まで上がります。
一年制であれば¥1,140,000~¥1,770,000、二年制であれば¥2,390,000~¥3,620,000が総額費用の相場です。
社会人でも入学可能?
まず、入学するための入試方法は一般入試、推薦入試、AO入試の三種類です。
推薦入試にはいくつかのバリエーションがあり、社会人を対象としたものもあります。
多くの学校で用意されている入試方法は以下の通り。
・一般入試
・推薦入試
・部活推薦入試
・資格推薦入試
・自己推薦入試
・OBOG推薦入試
・AO入試
このうち推薦入試と部活推薦入試は高校生を対象とした入試方法になりますので、社会人は対象外となります。社会人でも受験できる入試方法は、「一般入試」と「AO入試」です。
その他にも学校指定の資格保持者を対象とした「資格推薦入試」や、その学校を第一志望として体験入学やオープンキャンパスに参加することで受けられる「自己推薦入試」、卒業者の推薦状が入試条件となる「OBOG推薦入試」などがあります。
学校によってはこのような社会人対象の特殊な入試制度を設けている所もありますので、事前にチェックするようにしましょう。
製パン学校で学べる内容
製パン学校で必ず用意されている学習内容は、「製パン技術の取得」と「製パンのための基礎知識の学習」です。
さらに卒業後、個人でパン屋を独立開業するためのノウハウや商品開発のための総合的なセンスを学ぶカリキュラムも用意されています。
製パン技術と基礎知識の習得
製パン技術では、生地の「丸め」や「伸ばし」などの基礎練習から成形や焼成までの段階的なテクニックを取得。パンの種類ごとで異なる生地の仕込みや発酵の取り方を学びます。
基本的には実習メインでの学習形態をとるため、生徒は体感的に製パン技術を身に付けることとなります。
実習の多い製パン技術に対して座学では、食中毒や添加物など食品の衛生を守るための「食品衛生学」、食品全般に関する基礎知識を学ぶ「食品学」を中心に食品と製造についての基礎知識を学んでいきます。
またパン作りをする上で欠かせない知識「衛生法規」も基礎知識となるカリキュラムの一つ。
衛生法規は、国民が利用するサービスの安全性確保のために国が定めた基準や資格を記した法律です。製パンの仕事に就くのであれば、身に付けておく必要のある知識となります。
店舗運営のためのカリキュラム
いずれ独立開業を目指すのであれば、店舗経営のための知識も必要です。
製パン学校では、製パン技術の他にも店舗運営のためのカリキュラムを幅広く提供していることも特徴。
店舗の特色やオリジナリティーを決定付ける大切なポイントを製パン技術とともに学ぶことができます。
店舗運営のために提供されているカリキュラムは学校により異なりますが、二年制の場合には二年次で取り入れられるようになっていきます。
代表的なカリキュラム例は以下の通りです。
・ラッピングやディスプレイ
・新業態と商品開発
・店舗デザイン
・ベーカリーショップマネジメント
・POPデザイン演習
・色彩デザイン
製パン技術以外にも独立開業する際に役立つ知識を学ぶことで、より現実的にプランニングする力を身に付けることができます。
卒業後は多様な進路選択が可能
卒業後に実現できる多様な進路も製パン学校だからこその魅力。
多くの卒業生が進むのはやはり、パン専門店やパン個人店などへの進路。好きなパン屋の専門職人として働く人もいれば、独立開業を目指して修行を積むためにパン屋へ就職する人もいるようです。
なかには卒業後すぐに個人でパン屋を開いたというケースもあります。
続いてパン屋以外にもよく見られるのが、ホテルへの就職です。ホテルはウエディングから販売、食事提供まで幅広いニーズが存在する就職先。
一流の食事と合わせるパンを提供できるホテルも、製パン学校での人気が高い進路といえます。
その他にも製パン学校にはレストランやカフェ、材料メーカーや教育機関といったさまざまな進路があります。卒業後の進路も見据えて学ぶ学校を選んでいきましょう。
有名な製パン学校をご紹介!入校から開業までの流れをチェック
製パンの専門学校に通いたい方は「パン 専門学校 ランキング」などと検索される方も多いと思います。
この記事では最後に有名な製パン学校を二校紹介していきます。入校から開業までの流れはもちろん、学校独自のカリキュラムや特色についても触れていますので、ぜひチェックしてみてください。
また手軽にパン作りを学べるパン教室の内容についてもご紹介。製パン専門学校との違いも見ていきましょう。
①日本菓子専門学校「製パン技術学科」
日本菓子学校は日本で唯一菓子業界が設立した、パン造り・菓子作りの専門学校です。
パン作りが学べる製パン技術学科は全日制の一年コース。932時間という圧倒的な実習時間のもと、一年間で製パン技術の基礎から応用を習得することができます。
さらに学習内容は製パン技術だけではなく、
・製菓実習
・衛生学などの学科
・ラッピングやディスプレイなどの販売実習
なども必修科目。
製菓製パンの総合的な知識を得られるため、パンとお菓子を扱う「ブーランジェリー・パティスリー」を目指すのにもぴったりの専門学校です。
卒業までにかかる学費は以下の通り。他の学校とは異なり、ここでは施設使用料にあたる「教育充実費」と学生自治会費となる「校友会費」が発生しています。
「入学検定料」…¥20,000
「入学金」…¥270,000
「授業料(一年分)」…¥550,000
「実習費(一年分)」…¥530,000
「教育充実費」…¥300,000
「校友会費」…¥30,000
製パン技術学科の場合、総計¥1,700,000がかかることが分かります。
学校の場所は二子玉川駅(東京都世田谷区)より徒歩13分。東京、神奈川、埼玉、千葉周辺の方は自宅から通える距離にあり、社会人の方は難しいかもしれませんが学生寮も完備されています。
②東京製菓学校「パン本科」
1954年に開校した東京製菓学校は実力重視の老舗の専門学校。パン本科のコースは二年制で用意されています。
パン本科で学ぶ二年間の総実習時間は2144時間。全体の82%が実習時間にあてられています。
実習内容は製パン実習を筆頭に、「模範実技」「製パン実験」「実技講習」「創作研究」などさまざま。新しく商品を開発する際のポイントや方法についても多角的に学んでいきます。
卒業までにかかる学費は以下の通り。
「入学検定料」…¥20,000
「入学金」…¥180,000
「施設費・授業料・実習費」…¥257,500
「教科書や白衣など諸雑費」…¥148,240
東京製菓学校では「施設費・授業料・実習費」を三ヵ月ごとに振り分けて支払っていきます。そのため最終的にかかる総額は¥2,103,480です。
学校の場所は高田馬場駅(東京都新宿区)より7分、西早稲田駅より2分の好立地です。
③パン教室と製パン学校の違い
製パン学校の他にパン作りを学べる手段として「パン教室」があります。
パン教室は一回から学べる手軽さが魅力の学習方法。社会人になってから通う人も多いです。
大手料理教室が運営する全国展開の規模のものからパン屋が運営する小規模タイプ、講師が自宅で開催する個人運営タイプと、そのスケールもさまざま。
レッスン料やシステムは教室によって異なり、多くの教室が一回からの体験コースを用意しています。
レッスン料は一回分であれば¥10,000以下の手軽なコースがほとんど。6回コースや12回コースと刻んでいくと、それぞれ¥20,000台、¥100,000台とアップしていきます。
受講者は趣味で始めるケースが多く、パン作りを学ぶきっかけとしても人気です。
対して製パン学校では就職を見据えた製パン技術の習得となっていますので、そういった意識の違いが挙げられます。
まずは試しにパン教室の体験レッスンなどに参加してみるのも良いかもしれませんね。
まとめ
製パン学校のメリット・デメリット
今回は製パン学校について、その魅力や特徴をご紹介しました。
製パン学校はプロの講師による指導や実習、幅広い知識の習得が魅力ではありますが、コストが高くついてしまう所が最大のデメリット。パン屋開業のための資金面も踏まえると経済的に厳しいと悩む方も多いかもしれません。
そして、1~2年の学習期間がかかってしまうので、今すぐに開業に向かって進みたいという方には合わないとも考えられます。
パン屋開業の適性をチェックしてみる
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短期間で実践的な技術習得が可能なため、製パン学校にかける時間やお金よりも低いコストで参加が可能です。
将来のパン屋開業を見越して「本格的なパン造り」を学びたいけれど、学校に行くには課題が多いという方におすすめの製パン研修です。
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