パン屋の開業前には、保健所への許認可の申請や適切な物件の取得、パンを作る設備の導入など、やらなければならないことがたくさんあります。
今回は、パン屋を開業するまでの具体的なフローや、優先順位などを解説します。
こちらをご参照いただきながらひとつずつ進めていただければ、パン屋開業の手続きは片付いていくはずです。
パン屋開業に関心がある方は、まずこちらをご一読ください!
パン屋を開業するには
早速、具体的な行動フローについてお話ししていきましょう。
パン屋開業にあたり、やるべきことは以下の通りです。
・コンセプトの設計
・事業計画書の作成
・資金調達の必要性の確認、どれくらい調達できるかの確認
・物件の立地調査、物件取得費用の確認
・内装費用の見積もり、設備の選定・見積もり
・銀行などへの資金調達の申請
・従業員の募集開始
・物件取得
・開業届の提出、保健所への届出
・内装工事開始、オペレーションの確認
・オープン告知のため、必要に応じてビラ配りなど
ズラッと並んだ項目を見ると「こんなにやることがあるのか……」と嫌になるかもしれませんが、この中で特に大切なことは以下の4つです。
1: コンセプト、事業計画の設計
2: 物件の取得
3: 資金調達
4: 集客の仕掛け作り
まずはこの4つから順を追ってお話ししていきます。
提出書類の書き方や資金調達などの準備をする前に、全体の概要や重要なポイントを押さえていきましょう。
1: コンセプト、事業計画の設計
最初にやるべきことは、コンセプトの設計と事業計画の作成です。
コンセプト
コンセプトや事業計画という言葉自体はよく耳にするかと思いますが、実際どういうものなのかと聞かれると「よくわからない」という方も多いと思います。
簡潔に言うなら、「どういう方を対象に、どういう商品をどうやって売っていきたいか」を明確にすることです。
事業計画書の作成
コンセプトに基づいて事業を運営した結果、たとえば3ヶ月~半年かけていって、どんな形でお金が運用されいくのか、集客がどんな形で進んでいくのかを数字でシミュレーションしていくのが事業計画書です。
この辺りを何も考えないで進めていくと、たとえば物件の選定で、どこに開店するのかや内装のデザイン、商品と集客の仕掛けなどがちぐはぐになりかねません。
その結果、お客さんにどういったメッセージを発信していくのかというところまで統一性が取れずに進んでしまい、お店がなかなかうまく行きません。
お店の方向性を打ち出すためにも、コンセプトの設計と事業計画の作成は必ずやるべきことといえます。
2:物件選び
次に物件選びです。
たとえば駅前にオープンするのか、それとも住宅地にオープンするのか、少し辺鄙なところにお店を構え車やバイクで宅配する形にするのか。
どういった形でお店を運営するのかによって、物件の選び方も変わってきます。
「たくさんのお客様に来てほしい」というのであれば、アクセスがいい場所を優先して探したほうがいいといえるでしょう。
しかし、アクセスがいい場所は賃料が高かったり、維持管理でコストがかかったりするなどのデメリットもあります。
どれだけ賃料にお金をかけられるかというところとも相談していきながら、しっかりとプランを立てて進めていくようにしましょう。パン業界の場合、家賃比率は売上げの5%が目安となります。
3:資金調達
初めて開業する際、多くの場合は銀行からお金を借りる、つまり融資してもらうという形で資金調達することになります。
融資とは、簡単に言えば借金なので「借金は嫌だな」と思う方も非常に多いと思います。
しかし、融資は開業して間もない頃のほうが受けやすいことも。
というのも、お店を開いて半年以上経ち、「ちょっと経営が危ないかも」という状態で銀行に「お金を貸してください」と言った場合、銀行は潰れそうなお店にはお金を貸してくれないのです。
必要十分なお金を借りられるように、タイミングを見計らって銀行にきちんとアプローチをかけ、早くから交渉しておく、というのは非常に重要です。
資金調達先候補のひとつ、日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、国が100%の経営権を持っている銀行です。
民間銀行と違い資金が潤沢にあることや、起業家・経営者に対し融資をすることがミッションであるため、資金調達先として比較的利用しやすいといえます。
数ヶ月に一度、新規開業者向けの融資説明会などが行われているので、まずは参加してみるといいかもしれません。
銀行や信用金庫との違いは?
もちろん、身近な信用金庫や地方銀行も、開業時の資金調達先の候補として挙げられます。
信用金庫や地方銀行は、地元の経済や商業者を支援することがミッションなので、相談がしやすいという点があります。
ただ、政策金融公庫ほど資金が潤沢にあるわけではなく、営利企業としての側面もあるので、一般的には政策金融公庫よりも借りられる額が少ない場合が多いようです。
家族や親族に借り入れをする
銀行から借りる際には当然金利が上乗せされますし、経営状況が芳しくないときには銀行から指摘を受けることもあります。
そのため、人によっては心理的なプレッシャーになってしまうかもしれません。
また、銀行からだけでは必要な金額を十分に借りられないということも考えられます。
そのような場合、親族などから借り入れるということも視野に入ってきます。
親族からの借り入れは返済期間や金利などに融通が効きやすい反面、信頼を損ねてしまったり、人間関係そのものを破綻させてしまうリスクが出てきます。
そういったリスクを回避するためにも、まずは金融機関から必要十分な額を借り入れられるよう、しっかりと対策を練ることをおすすめします。
開業資金に関する相談事は、開業に特化した税理士事務所や中小企業診断士を探して一度相談してみるとよいでしょう。
4: 集客の仕組みを作る
資金の調達ができて物件も契約、物件の内装なども済んできたら、集客の仕組みを作っていくことになります。
一般的に集客というと、チラシ配布や告知イベント、食べログなどへのサイト掲載、SNSへの広告掲載、ちょっと変わった施策としては話題性の高い企画を作ってメディアにPRをかけていくなど、手段は様々あります。
結論としては、パン屋は基本的には半径2㎞以内の地域商売のため、お客様による「口コミ」が一番の武器となります。
いかに「口コミ」を集めるかという戦略を立てていくことが売上安定につながりますので、その理由や詳しい情報を知りたい方は当社の「リエゾンプロジェクト無料説明会」にお越しください。
パン屋開業形態は3種類
パン屋の開業形態には主に次の3種類。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
1: フランチャイズ開業
フランチャイズ開業のメリット
フランチャイズ(FC)開業の場合、フランチャイズ組織からノウハウを教えてもらえたり、物件や従業員を紹介してもらえたり、各種の手厚いサポートを受けながら進めていくことになります。
特に飲食店で課題となる食材の仕入れや、実際に物を売っていくためのノウハウなど、フランチャイズであればしっかりとしたノウハウを持っています。
そのため、初めてパン屋さんを開業する方でもスムーズにお店を始めやすいといえます。
フランチャイズ開業のデメリット
フランチャイズ組織にもよりますが、加入金として大きな金額を最初に求められたり、毎月ロイヤリティという形でお金を収める必要があったりということがあります。また、研修なども加入金を支払ってから受講する仕組みですので、高い費用を払って研修を受けてみたら、見込んでいたものと違っていた、というトラブルも起きやすいです。
また、営業についてもFC本部の方針に従わなければならないこともあるので、事前に確認しておかないとトラブルの原因になりかねません。
特に新しいメニューの開発や、金額調整、営業時間、店舗名などの自由度はまずないと考えておいた方が良いです。
フランチャイズ開業が向いている人
・パン屋をやってみたいけれど知識が何もない方
・複数店舗のオーナーになる資金力のある方
・フランチャイザーのブランド力が欲しい方
・フランチャイザーのサポートや店舗運営マニュアルに沿って経営したい方
2: 独学で独立開業
独学で独立開業のメリット
基本的には自分自身で物件や設備などを手配し、開業までを全て自分自身で進めていくのが独立開業です。
フランチャイズ組織などからサポートを受けることできない代わりに、毎月のロイヤリティを払わずに済むので、経営面での負担は減っていきます。
メニュー開発や販売アイテム、店舗の内装・外装も自身で決められるので、自由度は一番高いと言えます。
パン屋での勤務経験が長い方、製パン技術がある方、店舗ノウハウを持っている方、身近に助けてくれる人がいる方であれば、独立開業は選択肢の一つになります。
独立開業のデメリット
パン、店舗、経営、など様々なことを自分で決断していく必要があります。
分からないことがあっても自分で調べる必要があったりと、とにかく時間がかかり、結果として余計な時間とお金がかかるということも考えられます。
よくある失敗例としては「パン職人」としての腕は良いが、「経営者」としての知識や「接客」が出来ずに苦労する方が多いということです。
いくら美味しいパンが造れても、温かい接客がなければお客さんは離れてしまいますよね。自身が得意でない部分は、他の方に任せるなどの対策を取りましょう。
独立開業が向いている人
・自分で自由に商品や店舗経営をしたい、それだけの経験がある方
・パン屋での勤務経験がある方
・パンが大好きな方
・自分で試行錯誤して改善出来る方
・失敗を活かし、挑戦できる方
3: 開業支援
開業支援は、立地や経営の計画、人材育成のサポート、パンの造り方など、パン屋開業に必要な全てのことを支援(コンサルティング)してもらいながら開業を目指す形態です。
様々な面でサポートしてもらえるのはフランチャイズと同じですが、自由度が高いため、「自分だけのオリジナルのパン屋をやりたい」「経営面や開業でのサポートはして欲しい」と思っている方には開業支援がおすすめです。
当社の小規模ベーカリー開業支援「リエゾンプロジェクト」ではこの形式をとっています。
具体的にどのようなサポートをしているのかについては、こちらの記事をご覧ください。
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まとめ
パン屋の開業形態には、主にフランチャイズ開業、独立開業、開業支援という3つの形態があります。
一口に「パン屋を開きたい」と言っても、「自分のお店を持ってみたい」「他のパン屋とは違ったお店を開きたい」など、開業への想いは人によってさまざまだと思います。
自分の想いを叶えるためにも、どのようにパン屋を経営していきたいかなどしっかりと考え、不安な部分はプロの力を借りてプランを着実に進めていくようにするとよいでしょう。
「パン屋を開業したいという気持ちは決まっているけれど、具体的にはまだ何も…」という方は、話を聴くことで頭の整理が出来るので、まずは色々な説明会に足を運んでみるのもひとつの方法です。
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