最近は特に女性や主婦の方で、パン造りが趣味という方が増えてきたように感じます。
InstagramやFacebookなどのSNSで、自家製パンの写真を載せている方を多く見かけ、中にはプロ並みの腕を持つ方もいらっしゃいます。
そんな方の中には、「将来パン屋を開業できたらいいな」とぼんやり考えながら過ごしている方も多いのではないでしょうか。
今回は、「いつかパン屋さんになるため」に考えておきたいことをいくつかご紹介します。
趣味と仕事のパン造りの違いや、楽しいところ、反対に大変なところ、パン屋で働くのに向いている方の特徴などをご紹介しますね。
パン造りはここが楽しい
パン造りを趣味にする人が増えていますが、その魅力はどこにあるのでしょうか。
パン造りには、大きく分けて2つのパターンでそれぞれの楽しさがあります。
■自宅でパンを造る楽しさ
■お店でパンを造る楽しさ
この2つの一番大きな違いは、趣味でパンを造るか、仕事でパンを造るかということです。
まずはそれぞれ楽しさをご紹介します。
自宅でパンをつくる楽しさ
焼きたてのパンが食べられる
自宅でパンを造る1番の魅力は、ずばり「焼きたてのパンが食べられること」です。
実はパンは焼きたてよりも、ある程度冷ましてからの方が美味しいという意見もあります。その理由は、パンの風味が定着し、イースト独特の匂いも抑えられるためです。
しかし、パンを焼いている最中の砂糖の焦げるような香りや、オーブンを開けた時のバターと小麦の香りは、私たちの食欲を掻き立ててくれます。冷ましてからの方が美味しいと思っていても、この欲求にはつい負けてしまいますね。
無添加なので身体にも安心
自宅で焼くパンは完全無添加で造ることが可能です。工場などで造られている市販のパンは、防腐剤、着色料、人工甘味料などの食品添加物が多く含まれています。
もちろん利便性も多々ありますが、完全無添加と安心して食べられるものは多くありません。
お子様やご自身がアレルギーをお持ちの方でも、安心して食べられる乳製品不使用、グルテンフリーなどのレシピが多くあることも魅力の一つです。
少しむずかしそうに思われる方が多いのですが、ネットで調べればレシピはたくさんあり、材料さえ揃えば意外と簡単に作れることが多いです。
>「パンに含まれる添加物と安全性まとめ|お店で買えるおすすめ無添加パン」
家族や子供と一緒に楽しめる
ご家族やお子様と一緒に楽しみながらパン造りをすることも魅力の一つです。
パン造りは、粘土細工のように楽しむことも可能ですし、「自分で造ったパンを自分で食べる」ということを小さいころから行うのも良い体験になるかと思います。
また、そのパンが一体何でできているのか、何が含まれているのか、どうやって造るのか、などを知ることができるので勉強にもなります。
多少不格好でも、それはそれで楽しいかと思います。ぜひ挑戦してみてくださいね!
お店でパンをつくる楽しさ
本格的な機械でパンを焼ける
お店でパンを造る楽しさは、なんと言っても「たくさんの種類のパンを、本格的な機械を使って造る」ことでしょう。
来店されるお客様のために造るので、いつもよいたくさんパン造りを体験できます。
そして、大きなミキサーや大きなオーブンで焼くパンは、自宅で焼くよりも焼きムラのないきれいなパンに仕上げることができます。
飛び込みたくなるような大量のパン生地を成形し、大好きな焼きたてパンの香りに囲まれて働けるなんて、パン好きにはたまらない最高の環境です。
お客様によろこばれる
自分の作ったパンがお客様に評価されると、本当にうれしくて、やりがいを感じます。
しかし逆に、趣味では考えなくても良かった作業効率や原価を考える必要があります。
例えば「開店と同時に焼きたてのパンを提供するにはどうすれば良いのか」「原価を計算して、それぞれのパンに合った値段設定を決める」なども考える必要があります。
これはデメリットに感じるかもしれませんが、パン造りにおける楽しさの1つだとも言えます。どんな銘柄の小麦粉を使うのか、バターはどのメーカーを使うのか、もっと複雑な味わいにするには何を変えればいいのか。
など、限られた予算の中でお客様によろこばれる美味しいパン造っていきます。
一般的なパン屋の修業には8~10年かかると言われており、パン造りを極めることがとても奥が深いということが分かるかと思います。
パン屋の仕事で楽しいこと
パン屋の仕事は、パン好きの方にとっては楽しいことやメリットがたくさんあります。その中でも特に魅力だと感じるところを3つご紹介します。
パンの種類や製法に詳しくなれる
パン屋では自宅とは違い毎日数十種類のパンを造ります。そのため生イーストを使ったり、天然酵母を使ったり、湯種を入れたりするので製法も異なってきます。
パンの知識をつけていき、新たに資格を取得することも目標の1つにするのも良いのではないでしょうか。
余ったパンを貰えることがある
余ったパンを安く購入出来たり、ときには貰えることがあります。パン造りが好きな方にはとても嬉しいですよね。
自分が「どんなパンを造っているか」を知ることも大切ですので、お店の商品を食べることも勉強になります。
しかし、パンはカロリーも高いので食べ過ぎには注意しましょう。
お客様との何気ない会話が楽しい
パン屋に訪れるお客様の中には、毎朝のように買ってくださる常連さんがいたり、おすすめのパンについて聞かれたりと、お客様と会話する機会が多くあります。
その中で「美味しかった」と言ってもらえたり、お気に入りのパンを教えてくれる方もいて、その会話をしている時が私は最もやりがいを感じる瞬間です。
パン屋で成功するためには「接客がとても重要」なので、お客様との会話を楽しめるのであれば、パン屋開業の適正があると言えるでしょう。
パン屋の仕事で大変なこと
パン屋の仕事の楽しいところを紹介してきましたが、もちろん大変なこともあります。
力仕事が多く、意外と体力を使う
思っているよりも力仕事が多い
パン屋で初めて仕事をした時に、1番辛かったのは意外と体力を使うことです。
業務用の小麦粉は1袋25kgありますし、大きなミキサーで10kg~15kgもの生地を仕込む事もあります。
夏になれば熱い釜の近くで作業する事も多いので、暑さも辛くなってきます。業務用の窯は家庭用オーブンと違い、奥行きがあり、200℃前後の窯で火傷する事もしばしば。
接客の場合にも立ちっぱなしになることが多いので、思っている以上に体力を消費します。
朝は早く、忙しい
パン屋の仕事は朝が早いことがほとんどです。製造の場合、朝の5時~6時に出勤し、その日のパンを怒涛のスピードで焼いていきます。
販売の場合でも、朝早くからやっているパン屋の場合だと7時出勤ということも全然ありえます。
こうして聞いているとすごく辛そうなパン屋の仕事ですが、上記で紹介したような楽しい事もたくさんあり、慣れてしまえば体力もついてきてだんだん平気になっていくものです。
>パン屋で働きたい人必見!開店〜閉店までの業務内容や1日のスケジュール
パンの値段を覚える必要がある
パンには値札もバーコードはつけられません。
製造だけでなく、販売や接客業務にも携わる場合も、パンの名前や値段を覚えたり、ある程度何の材料が使われているかなどを覚える必要があります。
パン屋で働くことに向いている人はどんな人?
パン屋で働くには、パンが好きという事はもちろん大切ですが、その他にも向いている人と向いていない人がいます。
パン屋に向いている人の2つの特徴
パン屋に来るお客様が求めていることは、「美味しいパン」「いつも行く時間に、いつも買うパンが置いてある」「手頃な価格で買える」「いつも焼きたてである」などを求めています。
それを踏まえたうえで、パン屋で働くことに向いている人の特徴を2つご紹介します。
朝が得意な人
パン屋で働く上で、早起きは避けられません。朝一番からパンを焼き続けるのは正直言って楽な仕事ではありません。なので朝早く起きて、すぐに動くことができる必要があります。
失敗を引きずらない人
パンを造ったことのある人には経験のあることだと思いますが、パンは非常に繊細なものです。最初のうちは失敗もつきもの。
発酵の具合、焦げてしまう、窯伸びが悪いなど、少しのミスで多くのロスが出てしまいます。
しかしその失敗をクヨクヨ引きずって、新たなミスにつながってしまうようでは、パン屋で働くことには向いていません。
失敗してもその失敗を生かし次なる成功へつなげることのできる人こそがパン屋で働くことに向いていると言えます。
向いていない人の3つの特徴
パン屋で働くことに向いていない人の特徴はいくつかありますが、その中でも3つをご紹介します。
パンが好きではない
「実際に食べるわけではないのだから、関係ないのでは?」
こんな風に思う方もいると思いますがそうではありません。
パン屋で働くと常にパンに囲まれている故に、パンの焼ける匂いに囲まれます。またお客様にオススメのパンを聞かれたりした時に、自分の食べた感想も交えると説得力が全然違います。
なので、パンが好きなことは絶対条件であると言えるでしょう。
体力仕事が苦手な人
上記でも少し触れましたがパン屋では力仕事が多いです。材料の他にも食パンを何斤も乗せた鉄板はパンと言えど重たいです。
パン屋の労働時間は9〜12時間と長めの傾向にあり早朝からの労働に加え、体力はやはり必要です。
大雑把な人
パン造りは材料の割合が0.1%まで決められており、それが変われば発酵時間も焼き時間も変わってきます。また季節によってもパンに加える水の温度も発酵温度も変わってきます。
それだけパン造りというのは繊細な作業がたくさんあり、大雑把な人では失敗も多くなってしまい、繊細な作業にストレスを感じてしまい仕事自体が苦になってしまうかもしれません。
大雑把な人はパン屋には向いていないと言えます。
まとめ
今回はパン造りの趣味と仕事の楽しさの違いと、どんな人が向いているのかをご紹介しました。
趣味でパンを造るのは楽しいですが、「いざパン屋を開業しよう!」となると、何をやっていいか分からない方も多いと思います。
リエゾンプロジェクトでは、「自分が本当にパン屋になれるのか」を体験いただける、5日間の製パン研修を開催しております。
「いつかパン屋さんを開業したい」「家族でパン屋さんを経営したい」「脱サラしてセカンドライフを充実させたい」などと考えている方は、ぜひこちらの記事もご参考ください。